情報セキュリティのコア vs 補助サービス:核心と補完要素の区別

By PLURA

🔒情報セキュリティの真の核心は、最終的に外部からのハッキング攻撃を防ぎ、異常兆候を早期に検知して迅速に対応することです。
しかし、セキュリティ分野が広範であるからといって、すべてが同じ優先順位を持つわけではありません。

実際のハッキング状況に即応するために、以下の3つの核心サービス領域(事前脆弱性診断、予防、検知および対応)を最も重要な柱として提案します。

情報セキュリティのコア vs 補助サービス

1) 事前脆弱性診断(Proactive Security)

システム運用中に発生し得る脆弱性を事前に発見し、それによって潜在的なセキュリティリスクを先制的に遮断します。

  • 核心要素:脆弱性診断ツール(Vulnerability Assessment)
  • 主な機能
    • ソフトウェア、OS、ネットワーク構成の脆弱性検出
    • 組織内のセキュリティポリシー遵守状況の確認

継続的に行われる事前診断は、将来起こりうる侵害事故の可能性を大きく下げる核心活動です。

「脆弱性診断は初期投資が必要ですが、それを怠るとハッキング成功率が著しく上がります。そのため、必須投資領域として分類するのが合理的です。」

2) 予防(Prevention)

どんなに安全な環境でも攻撃者は最初の侵入口を狙います。これを遮断するために、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)が代表的な役割を担います。

  • 核心要素:Webアプリケーションファイアウォール(WAF)
  • 主な機能
    • Web攻撃(OWASP TOP10など)の事前ブロック
    • SQLインジェクション、XSSのような脆弱性悪用を防御
    • アカウント乗っ取り、クレデンシャルスタッフィング攻撃の防止

サーバーに入ってくるWebトラフィックを中間でフィルタリングし、異常なパターンのアクセスを事前に遮断することで、大規模被害を防ぎます。

「WAFはSIEMと連携してログインページに対するクレデンシャルスタッフィングやブルートフォース攻撃を検知し、
異常リクエスト(短時間での大量試行、流出アカウントリストの使用など)を根本的に遮断することができます。」

3) 検知および対応(Detection & Response)

高度化された攻撃(APTなど)は、単なるファイアウォールでは完全に遮断するのが難しいです。
したがって、エンドポイント(サーバー、PCなど)で発生する各種イベントをリアルタイムで検知し、侵害を確認したら即座に遮断しなければなりません。

  • 核心要素
    • EDR(Endpoint Detection & Response)
    • 高度な統合セキュリティ分析(Advanced SIEM/XDR)
    • MITRE ATT&CKベース
  • 主な機能
    • 高度標的型攻撃(APT)の遮断
    • Webシェル、バックドア、ランサムウェアの遮断

📉 単なるsyslog収集はコアから遠い

  • 一部の組織では、さまざまなセキュリティ製品から出力されるsyslogを統合してSIEMに連携させています。
  • しかし、Web本文の分析運用サーバの監査ログなど実際の侵害指標を深く扱わない場合、
    単なるログ集計以上の効果は期待できません。
  • このように、単純なログ収集のみを目的としたSIEM連携はコアな検知/対応業務とは言えず、
    IT管理部門がポリシーに基づき運用する形の方が適している場合もあります。

🎯 高度な侵害検知と対応にはPLURA-EDR/XDRが不可欠

  • EDR:エンドポイント(サーバー/PCなど)で発生する異常行動をリアルタイムに収集・分析し、即時に遮断可能です。
  • 高度な統合セキュリティ分析XDR形態など):
    • WAF、EDRで収集されたパケットとログを相互連携
    • ゼロデイ攻撃クレデンシャルスタッフィングのような複合攻撃を早期に識別
    • Web本文分析およびサーバ監査ログ(オーディット)までカバーし、実際の侵害事例を迅速に把握

結論として、単なるsyslog中心のSIEM運用ではなく、
PLURA-EDRPLURA-XDR(統合検知および対応)のように多様な侵入の痕跡を総合分析できる体制を構築してこそ、
検知および対応”を真に実現することができます。

コアセキュリティサービスの核心的価値は、必ず費用をかけるべきであるという点です
コアセキュリティサービスは企業の存続に直結する領域であり、可用性予算の問題で妥協すべきではありません。
攻撃が発生した際、即座に対応しなければ、金銭的・評判的損失だけでなく、事業そのものが崩壊する可能性があるからです。
したがって、コアセキュリティは「企業の生存がかかっているため、必ず投資されるべきもの」と考えるのが合理的です。


🔷 情報セキュリティ運用管理サービス(補助的要素)の拡張リスト

以下に列挙されたサービスは、ポリシー的・管理的な目的特定の環境に特化したセキュリティ機能を担います。
つまり、リアルタイム侵害検知・対応(コア業務)よりも、運用的・行政的側面が強調される「補助的セキュリティサービス」です。

1. 継続的システムモニタリング(Monitoring)

  • 簡易要約:サーバー/ホストのCPU、メモリ、ディスク、ネットワーク使用量などを常時チェックし、障害予防と性能最適化を目的に運用
  • 主な機能
    • リソース使用率のリアルタイム監視
    • 異常兆候発生時の通知と対応(例:自動拡張、アラート送信)
  • 運用型セキュリティの理由
    • 主な目的はサービスの可用性確保(障害予防)であり、侵害対応とは焦点が異なる
    • もちろんCPU過負荷、異常プロセスなど攻撃の兆候にもなり得るため、セキュリティチームとの連携による相乗効果が可能

2. アカウントおよび権限管理

  • 簡易要約:社内ユーザー(社員)や外部パートナーのアカウントを効率的に管理し、リスクの高い権限を制御します。
  • ソリューション・例:IAM(Identity & Access Management)、PAM(Privileged Access Management)、SSO、MFA、アカウントライフサイクル管理など
  • 運用型セキュリティの理由:アカウント発行/削除、アクセス権限の再設定、セキュリティポリシー遵守確認などを継続的に管理する必要あり

「金融機関や官公庁など特定業種ではIAM/PAMが法的義務となっており、コアのように運用されることもあります。」

3. ネットワークセキュリティモニタリングおよび分析

  • 簡易要約:トラフィックの流れやパケット情報などを包括的にモニタリングし、ネットワーク層で異常を検知・統制します。
  • ソリューション・例:IDS/IPS(侵入検知・防御)、NDR(ネットワーク検知と対応)、NetFlow分析、アンチDDoSソリューションなど
  • 運用型セキュリティの理由:各種ネットワーク機器(スイッチ、ルーター、ファイアウォール)とのポリシー連携・ログ管理を常時実施する必要がある

4. データ保護および管理

  • 簡易要約:企業のコア資産であるデータが漏洩したり不正アクセスされないように体系的に保護します。
  • ソリューション・例:DLP(情報漏洩防止)、DRM(デジタル著作権管理)、データマスキング、DBアクセス制御、暗号化・鍵管理など
  • 運用型セキュリティの理由:個人情報・マイナンバー・決済情報など機密データ処理における規制対応(例:GDPR、ISMS-P)が重要

5. クラウドセキュリティおよび管理

  • 簡易要約:クラウド環境(AWS、Azureなど)で発生するセキュリティリスクを識別し、資産を安全に運用します。
  • ソリューション・例:CASB、CSPM、CWPP、コンテナセキュリティなど
  • 運用型セキュリティの理由:クラウド設定ミス(公開バケットなど)やマルチクラウド環境での資産把握など、継続的なポリシー・構成点検が必要

6. アプリケーションセキュリティ管理

  • 簡易要約:アプリケーションの開発・運用段階で発生しうる脆弱性を検出し、セキュリティを強化します。
  • ソリューション・例:SAST/DAST(静的・動的コード分析)、オープンソース成分分析(SCA)、APIセキュリティ、Web脆弱性スキャナなど
  • 運用型セキュリティの理由:開発過程での定期スキャンコードレビューが必要であり、リリース後も継続的なアップデートが必須

7. エンドポイントセキュリティ管理

  • 簡易要約:PC・モバイル・IoTなど様々なエンドポイント機器で発生するマルウェア、ランサムウェアの脅威を防御します。
  • ソリューション・例:ウイルス対策、アンチマルウェア、USB/外部ストレージ管理、MDM/MAMなど
  • 運用型セキュリティの理由:ユーザー端末環境を常に最新のセキュリティ状態に保ち、ポリシー違反端末の隔離・制御が必要

8. 脅威インテリジェンスおよび分析

  • 簡易要약:公開された脆弱性情報やハッカーグループの動向を収集・分析し、セキュリティポリシーに反映します。
  • ソリューション・例:CTI、サンドボックス分析、ハニーポット運用、脅威フィード連携など
  • 運用型セキュリティの理由:収集した脅威情報に基づいて社内ポリシー継続的に更新し、意思決定に活用する必要がある

9. メールおよびメッセージセキュリティ

  • 簡易要約:フィッシング・スパムメール、悪意あるリンクなどを遮断し、社内メールの安全性を維持します。
  • ソリューション・例:メールゲートウェイ、メール暗号化/フィルタリング、フィッシング対策ソリューションなど
  • 運用型セキュリティの理由継続的なフィルタールール更新、ユーザー教育、スパム・フィッシング報告プロセスの運用が伴う

10. 規制遵守および監査

  • 簡易要약:法的・業界別コンプライアンス要件を満たし、内部統制とセキュリティポリシーの実施を監査ログで検証します。
  • ソリューション・例:GRC、ISMS-P/ISO27001、監査ログ管理、コンプライアンスモニタリングなど
  • 運用型セキュリティの理由定期的な審査監査証跡が必須であり、行政的業務ログ管理が中心

11. セキュリティ運用管理(オーケストレーションと自動化)

  • 簡易要약:複数のセキュリティソリューション間で自動化された連携ワークフローを構築し、セキュリティ運用を簡素化します。
  • ソリューション・例:SOAR、チケット管理システム、BCMなど
  • 運用型セキュリティの理由ソリューション統合自動化シナリオの設計・管理、組織別プロセス再構築など、運用中心の業務

12. 物理的セキュリティ管理

  • 簡易要약:データセンター・オフィスにおける入退室管理、CCTVモニタリングなどで物理的な侵入を防御します。
  • ソリューション・例:入退室管理システム、CCTV、生体認証入室、スマートロックなど
  • 運用型セキュリティの理由:現場設備の保守、入室権限の変更、CCTVログの保管・確認など常時運用が必要

13. その他特化型セキュリティソリューション

  • 簡易要약:業種別・技術別に特化した分野でカスタマイズされたセキュリティを実施します。
  • ソリューション・例:デジタルフォレンジック、ブロックチェーンセキュリティ、OT/ICSセキュリティ、AI異常検知など
  • 運用型セキュリティの理由:該当業界・技術標準や規制を満たすため、カスタマイズ運用教育が必須

「ネットワーク分離、ネットワーク連携、VDIなどは公共・金融機関での規制対応や内部ネットワーク保護のために必須とされる場合もあります。」

結論として、このリストに挙げたサービスはいずれもセキュリティに一定の役割を果たしますが、
リアルタイム侵害検知および対応(コア)」とは異なり、ポリシー・運用・規制遵守など
継続的な管理と行政手続きがより重視される補助的運用セキュリティ領域です。


補助サービスは企業の状況に応じて選択可能

  • 上記の補助サービスはすべて重要ではありますが、コアセキュリティのように「絶対に必須」というわけではありません。
  • 予算・可用性・規制の課題などにより、どのレベルまで適用するかを調整できる点がコアとの違いです。
  • 例:スタートアップは初期段階ではWAF・EDRを中心にコアセキュリティへ集中し、DLPDRMなどの補助サービスは後回しにすることができます。

なぜ補助サービスであるべきか?

👉 IDS/IPS、本当にコアセキュリティなのか?


🆚 情報セキュリティの核心 vs. 補助的サービス

一般的に、大企業や金融機関のようにセキュリティが特に重視される組織ほど、数十種類以上のセキュリティソリューションを使用しています。場合によっては100種類以上導入していることもあります。
このように多様な管理およびモニタリングサービスが存在しますが、その中で「攻撃発生 → 検知 → 対応」に直結するのはごく一部に限られます。

  • コアセキュリティ:前述の事前脆弱性診断、予防(WAF)、検知/対応(EDR・XDR)
  • 補助的運用要素:ポリシー的・管理的な目的(規制遵守、アカウント/権限管理、データ保護、クラウドセキュリティ、物理セキュリティ、継続的システムモニタリングなど)

「補助的」という表現は決して「重要でない」という意味ではありません。
これはリアルタイムの侵害検知および対応とは異なり、ポリシー・運用的な観点が強いことを説明するための区分に過ぎません。


補助サービスも「セキュリティ」だが、焦点と目的が異なります

補助サービスが「不要」という意味ではなく、
アカウント管理(IAM/PAM)やデータ保護(DLP、DRM)などは、企業全体のセキュリティ維持において一定の役割を果たします。

企業・組織によっては、一部の補助サービスが「コア」となる場合もあります。
たとえば、金融機関では個人情報保護(DLP)、アクセス制御(IAM)が法的義務レベルで求められ、
これらのサービスはコアのように必ず導入されなければならないケースもあります。
つまり、組織の特性・規制環境によって、補助サービスの一部コアレベルに格上げされる可能性がある点に注意が必要です。

ただし、ハッキング攻撃に即時対応が求められるコアセキュリティ(WAF・EDR/XDRなど)とは異なり、
補助サービスは運用・規制遵守に合わせて常時管理が求められる**「運用型セキュリティ」**領域に近いです。

  • コアセキュリティ業務
    • 攻撃発生時に即時対応が必要なリアルタイム性
    • 侵害の特定・遮断、インシデント分析および対応
    • 費用がかかっても企業の存続のために妥協不可
  • 補助的運用要素
    • ポリシーベースのアカウント/権限管理、ログ保管、規制遵守
    • 常時運用業務(ヘルプデスク、設備運用など)
    • 必要性と優先順位を企業の状況に合わせて調整可能

⚠️ セキュリティチームのリソース分散:補助サービスがもたらす現実的な課題

実際にセキュリティチームの業務の70~90%が、アカウント管理、権限設定、監査ログ準備など「補助的運用業務」に費やされる場合が多いです。
結果的に、侵害インシデント対応能力
脅威インテリジェンス分析
などに投入する時間が不足し、セキュリティチームの専門性士気が低下する悪循環に陥ります。

「アカウント申請・削除プロセスでは『高リスク権限』についてセキュリティチームが最終承認し、ITチームが発行を実行。
ネットワークログの誤検知対応も一次対応はITチーム、規定違反の最終判断はセキュリティチームが行う。」


IT管理部門へ補助サービスを移管する方策

  • 補助サービス(アカウント管理、設備運用、ログ整備など)の多くは「セキュリティポリシーに基づいて運用」するだけで十分対応可能です。
  • 権限申請・削除、デバイス管理などの業務はIT管理部門(ヘルプデスク、インフラ運用チームなど)に移管可能であり、それによってセキュリティチームがコア業務(攻撃検知・対応、脆弱性管理)に集中できます。

📌 核心アイデア:

  1. セキュリティチームポリシー策定、統制ルールの定義、侵害対応に集中
  2. IT管理部門はセキュリティチームのポリシーに基づき補助サービスを実行・運用
  3. 定期的なレビュー・監査を通じて、セキュリティチームが統制を維持しているかを確認

結論:「補助サービス=不要」ではなく、「焦点」が異なる領域です

セキュリティのコアリアルタイムの侵害検知と対応であり、これはコストを削れず企業の存続に直結する領域です。
補助的な運用要素はポリシー的・管理的側面からセキュリティを支え、規制遵守を保証する役割を担います。
(ただし、一部の補助サービスは企業や組織の特性に応じてコアとして扱う必要がある場合もあります。)

しかしながら、セキュリティチームがすべての補助サービスを抱え込み、コア業務に集中する時間を失うのは深刻な問題です。
この課題を解決するためには、

  1. セキュリティチーム統制権限即時対応能力を保持しつつ、
  2. 補助的運用業務IT管理部門に分散させ、
  3. 協力体制を整えるモデルを構築する必要があります。

このように業務を再配置することで、組織全体のセキュリティレベルを向上させ、セキュリティチームの専門性士気も維持することができます。


Tip

  • セキュリティソリューションの重複機能を確認し、統合管理の方針を検討します。
  • コアセキュリティシステム(WAF、EDR、XDRなど)は定期的に点検・アップデートして最適な状態を維持します。
  • 単純なsyslogベースのSIEM連携は運用効率の観点からIT管理部門が担当し、実際の侵害指標分析高度な検知ソリューションが担う構造を推奨します。
  • 人材の能力強化(セキュリティ意識教育、専門人材の育成)も並行して行い、セキュリティ効果を最大化する必要があります。

✅ 結論として、情報セキュリティでは「検知と対応」が何よりも核心です。
補助的な運用要素も重要なセキュリティ活動ですが、「セキュリティチーム本来の業務」とは焦点が異なります。
最終的には、組織内の役割を効率的に分担し、セキュリティチームがハッキング防御と迅速な対応に集中できる体制を整えることが、本当のセキュリティ強化への近道です。


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